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「いのちのことば」誌 2007年掲載
本書の著者ボブ・ラッセル牧師は２０年前には１２０人の礼拝出席者であった教会を現在では１８０００人を数えるまでに導いた人物である。北米のメガチャーチの一つであるそのサウスウエスタン・クリスチャン・チャーチはケンタッキー州にあり、教会堂は３６億円もかけて建てられたとのことである。
本書はそのようなラッセル牧師の力の秘密を読者にかいま見せてくれるものとなっている。とは言え、本書はいわゆるサクセスストーリー的なものではない。副題にも「人生の危機と聖書の約束」とあるように、私たちが直面する人生の危機の中でどのように聖書を読み、信仰の旅路を歩み抜いたらよいのかをねんごろに語りかけている書物である。
そこでは次のようなテーマのもとに１２章に分けて記されている。「恐れの時に」「疑いの時に」「孤独な時に」「お金に苦労している時に」「誘惑の時に」「反抗の時に」「罪悪感にさいなまれる時に」「心配な時に」「反対にあう時に」「繁栄の時に」「悲しみの時に」「死に直面した時に」。全部を読み通さなくても、ここにあるような困難に遭遇する時に、その箇所を拾い読みするだけでも、私たちは大いに助けられることであろう。
ラッセル牧師は聖書と私たちの日常生活を結びつけて印象深く語ることに優れておられるようである。本書は最初から最後まで私たちの日常生活が中心的題材となっている。しかもそれらが聖書の物語と「より糸」のように絡み合って語られている。現代と聖書の世界が渾然一体となっているような感がある。しかもユーモアが随所に溢れて読者をあきさせない。牧師としてきっとそのような説教や牧会を常にしておられるのであろう。
訳者の渡辺聡先生とは日頃から交わりを持たせていただいているが、多忙の中にありながら奥様とのご協力で本書を生み出されたことに敬意を表したい。これからも更に良書翻訳に取り組んでいっていただきたいと思う。