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「いのちのことば」誌 1998年掲載
本書に収められている説教は教会の講壇から語られたものではなく、著者の牧する教会の機関誌に著者が掲載したものが集められるかたちで一書を成している。その点では一つ一つが、「語られた説教」というのでなく「記された説教」としての性格をもっており、分量的にも大きなものでなく、ショート・メッセージとしての趣をもっている。
「開かれた門」という本書のタイトルは、収蔵されているメッセージの中の最後のタイトルがそのまま採用されているが、それぞれのメッセージにはすべてタイトルが付されており、たとえば「御顔を仰いで」「初々しい祈り」「主に導かれる教会」「まことの幸い」「感謝は力である」等々のごとくである。
著者自身も本書が出版されるに当たって、その思いを「序文」において述べておられるが、「私は、主が語りたいと願っておられることを、主が語りたいと願っておられるように語らなければならない」、との言葉通りの精神と姿勢が確かに本書全体を貫いて流れているように見受けられる。
それぞれのメッセージは短く簡潔でありつつ、しかも実際的で分かり易く、何よりも御言葉の解き明かしとその具体的な適用に優れているという点において、キリスト教のメッセージとしての基本的格調を高く保っていると思われる。
本書の著者はフリー・メソジスト桜ヶ丘教会の牧師であり、長年の伝道牧会のキャリアを有しておられるが、そのような長年の経験に裏打ちされて語られる言葉には味わい深い含蓄と重みがある。
「もくじ」部分には、個々のメッセージの内容を的確に示唆するタイトルが記されているので、読者の関心や必要に応じてそこを開いて耳を傾けるもよし、本書を座右に置き、日毎のデボーションのテキストなどに用いるのも一考であろう。